日本風に言うと”付属”、 アメリカでは ”トリム” ボタンやジッパーなどの服に付随する物 #1
ボタン、ジッパー、ストラップ、テープ、フックなどなど
服に付随している物の総称で日本では”付属” アメリカでは”トリム”と呼びます。
ボタンだけでも、素材、サイズ、穴の数、用途などによって様々で、
種類は気が遠くなるほど多いです。
ジッパーもブランド、金属の素材、大きさ、テープの素材と色、引き手、などなど
種類が多く迷ってしまいます。
様々な物の中から、ブランドイメージ合った物を継続使用する場合が多いです。
シャツ用のボタン1つにしても、イメージに合わない物を選択すると、そのブランドのアイデンティティーが変化し最悪な結果となります。
最悪と言う意味は、ブランドイメージが代わり顧客が離れて行き消滅する危険性もあります。 それ位トリムの選択は重要で神経質になる部分です。
サンプルが完成しバイヤーやプレス等へのプレゼンから、バイヤーがオーダーし2015年秋物の商品が生産されるまで。(量産編)
前回の続きで量産時のアクシデントについてです。
セールスチームが苦労して集めてくれたオーダーを集計し、量産に入るわけですが
ここからがまた大変な苦労があります。
準備と現実を上げて行くと。。。
1、工場の手配、予約、事前ミーティング
準備)工場も生産の予定がありますので早い段階での予約的な事は必須。
現実)しかし生地やパターンなどの遅れでずれ込むこともしばしばある。
2、生地やボタンなどの発注
準備)万が一の事を考慮し多少多めにオーダー
現実)納期遅れや、違うものが来りする事もある
3、サンプルの型紙を量産用に修正
準備)万全にチェック
現実)納期遅れやサイズ違いもまれにある
最悪)それに合せて裁断縫製してみたらサイズが違う。。。
このへんから仮説しますと、ま〜いろんな行程でいろいろアクシデントが発生する可能性があり気を抜けません。
しかし毎回こうなると言う訳ではありませんのでご安心を。
仮装? 儀式? ロサンゼルスのとある生地屋で見つけた中南米系の従業員
仮装とか儀式じゃないんです
仮装? 儀式? ハロウイン?
ちょっと怪しげな写真ですが、これはロサンゼルスのとある生地屋で見つけた中南米系の従業員の装いです。
縫製工場でも同じ様な格好をしている人を見かけますが
これは余った生地に頭を通る穴を開けてポンチョの様にして着ています。
どうしてこんな格好してるかというと、これは彼らにとってもエプロン代わりで
生地屋や縫製工場では、目に見えない凄い量のホコリが舞っていて、それが衣服につかない様にエプロン代わりに着用しているのです。
一日中ホコリの中で働く彼らなりの知恵なんですね。
メキシコなど中南米出身の彼らはとても音楽好きで、サルサ、メレンゲなどなど陽気で明るい音楽、そして演歌のルーツの様なメロディアスなラブソングを聴きながら単純作業を毎日こなしてくれる頼りになる存在なんです。 低賃金でも勤勉に働く彼らが居るお陰で、我々は様々な恩恵を受けています。 感謝ですね。
探しまわってようやく、ダウンタウンLAの生地屋さんで発見した裏毛スエット素材
サンプル用にオーダー受けた生地が簡単に見つかるだろうと油断していると、なかなか見つからない場合がある。
写真のようなスエットの定番的な生地、裏毛のヘザーグレー。
それもサンプル用なので、せいぜい10ヤード。 一般向けに小売りもする生地屋がダウンタウンLAには多く存在し、きっとここを数件まわればすぐに見つかるだろうと油断していると、希望の生地がなかなか見つからない。 数件回ってもない、ない。。。
5時には閉店する店がほとんどなので、その日は時間切れで退散。
気を取り直して次の日捜索開始。
数件回るがやはり無い。
ようやくたどり着いた生地屋で良さそうなのを発見したが、切り売りはしてもらえず諦めて1ロール購入したのが写真の生地。
このような裏がループ状になったタオルのようなスエット生地の事を日本のファッション業界では「裏毛」と呼ぶ。
国が違えば呼び方も変わるもので、これがアメリカだと「フレンチテリー」とか「ループテリー」と呼ばれる。
タオルの様な生地の総称を「テリー」と呼び、「ループテリー」は想像がつくが、
「フレンチテリー」はまったく想像がつかない。
どうしてフレンチなのかルーツは調べてないが、おそらく昔この様な生地はフランスからの物が多かったからフレンチなのだと想像する。
サンプルが完成しバイヤーやプレス等へのプレゼンから、バイヤーがオーダーし2015年秋物の商品が生産されるまで。
2015年の秋冬物は、1月のイタリアから始まりヨーロッパ各地でショーや展示会が行われ、それが終わるとアメリカに渡り、NYやラスベガスなど各地でショーや展示会が行われます。
最近ではよくファッションウイークという言葉が用いられ、ロンドンファッションウイーク、NYファッションウイークなどと称し、世界の主要都市で開催。
それが終わると海外ブランドは2月後半から本確的に日本での展示会シーズンがスタートします。
その期間中、終了後にもセールスチームはバイヤーから必死になってオーダーを集めます。
この時期がセールスチームにとって一番忙しく大変な時期。
それを乗り越えてオーダーを集計し4月ごろから製品の量産がスタートします。
こここからは生産チームの最盛期。
量産用の生地、そしてファッション業界で”付属”と呼ばれるボタンやジッパーなど服に付随する物の発注。
工場の手配や予約、量産向けパターン修正などなど、細かく地道で大変な裏方の作業が続きます。
(我々はここの部分をメインに請け負っているのです。。。)
この行程はトラブルとの戦いと言ってもいいほど、生産の様々な過程でアクシデントが発生します。
発注ミス、納期遅れ、オーダーと違うなどなど。。。
生地などが揃って生産がスタートしても、予定通り進まないなど今度はまた違ったアクシデントに見舞われます。
裁断ミス、縫製ミス、さまざまな理由での納期遅れ、染めや洗い加工後に発覚する穴、ほつれ、ねじれ、色ぶれなどの問題、プリント屋さんではデザイン違いなどのプリントミス、ありとあらゆるトラブルとアクシデントが発生します。
毎回常にと言う訳ではありませんが、何度も再確認し完璧に準備したとしても、何かしら必ずアクシデントは起ります。
これを書き始めるとかなり長くなるので、この行程は別の機会に詳しく説明しますね!
生地から作るブランドは約3〜5ヶ月間は量産の生産に時間を要し、6〜8月には秋物の製品が出荷され始めます。
そして生産チームの苦労が実り無事に出荷が出来て、店頭やウエブで秋物の小売りが開始され始めるのは8月前後と言う訳です。
8月はまだ夏なのですが、この時期から早めに一般消費者にプレゼンをスタートし徐々に秋モードに切り替えて頂きます。
そしてファッションフリーク達は、待ちに待った最新の秋物を購入し始めるのです!
ボクだったらこんな曲を聴きながらリラックスしてショッピングを
楽しみたい。
1年先の2015年秋冬物のデザイン、どうしたらいいアイディアが浮ぶのか?
来年の1月から早くも2015年秋冬物、ベイヤー等へのプレゼンテーションが始まる。
サンプルを展示してバイヤー等へ紹介したり、モデルにサンプルを着てもらいプレゼンするキャットウオークなどが代表的なプレゼンテーション。
その為には数ヶ月前から準備を始めなければ間に合いません。
ボクはちょっと遅い方で2月の展示会に向けて、新たなプロジェクトを提案しようと
デザインを初めました。
一年先に何が売れるかなんて誰にも分りません。
しかし今の時点で判断してサンプルを作らないと秋物の商品を店頭に並べ、小売りする事が出来ないのです。
デザインはブランドのコンセプトやイメージがあるので、それがぶれないように常に意識し、普段からアンテナを張り巡らしてアイディアをストックしておきます。
ボクはそのストックしているアイディア、前シーズンに出来なかった事、失敗した経験、
それに新しいアイディアをミックスさせて編集する様にデザインを進めて行きます。
自由な発想でまずはアイディアを形にします。
好き勝手に自由にデザイン出来るから、この作業はボクにとって一番楽しい行程!
それを数日から数週間かけて行い、今度は削ぎ落とす作業に移行。
理由はどうしても似た様なデザインが出て来るのでそれを選別します。
勿論採用されなかたデザインは後の為にストックしておきます。
選別した後は、アイテムごとに色、洗いや染め加工、プリント、刺繍、レーベルのデザインを全体を見ながらバランス良くなるように同時進行します。
この行程が一番大変です。 予算、期間、デザイン、コンセプト、イメージを高めるデザイン、商売を優先するデザインなどなど、ビジネスである以上は様々な要素を加味して進めなければならず頭の痛い行程なのです。
そんな頭の細胞をリラックスさせる時にはクラシックを聴きます。
(作業中は様々な音楽を聴きますが。。。)
LAにあるUSC卒のYo-Yo Ma
これに数週間かけて厳選しデザインの完成となります!
次はそれを元にサンプル作りになりますが、これは次回で。
90年代のアメリカ製ウールチェックのデッドストック生地を、LAのクローズアウト生地屋さんで発見
クローズアウトの生地を買い集めている生地屋さんがロサンゼルス界隈に沢山あります。
クローズアウトとは要はバッタ物で、メーカーや工場、生地生産元が在庫していたデッドストックの生地や、特注で作って余った生地などを非常に安くまとめ買いし他物を販売しています。
スモールプロダクション(少量生産)の場合、まずは営業用(展示会)のサンプルを作り、それを元に営業し、注文が入った分をメインにして製品化されるので、量産分の生地を先に買っておくのは非常にリスキーである。
仮に生地を先買いしてもオーダーが入らず量産出来なければ、その生地は在庫として残ってしまい資金繰りを圧迫します。
なのでこういう生地屋で掘り出し物があっても、かなかな買って在庫しておけないのが、本音なのです。
写真は最近見つけた、ウールチェックの生地でアメリカ製、おそらく90年代頃と
予想されます。
Neil Youngが着たら似合いそうな生地です。